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Channel: いづつやの文化記号
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植田正治の写真はこんなに楽しかったの!

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Img_0002     ‘パパとママとコドモたち’(1949年)

Img_0003     ‘ボクとわたしのお母さん’(1950年)

Img_0004     ‘砂丘モード’(1883年)

Img_0005     ‘幻視遊間’(1987~92)

絵画や彫刻に較べて写真は関心が薄いので、これまで写真展をみるために展覧会に足を運んだことはない。ところが、植田商正治という写真家の回顧展(10/12~1/5)が東京駅ステーションギャラリーが行われるという情報に接し、心がちょっと揺れた。行くか行くまいか迷っていたら、2週間前日曜美術館に登場した。写真についての知識がないぶんすごく新鮮ですごくおもしろかった。これで決心がつき東京駅まで出かけてきた。

写真のことはほとんど知らない。木村伊兵衛や土門拳や林忠彦、篠山紀信、荒木経惟、杉本博司くらいは知っているがそのほかの写真家となると誰だっけ?という感じ。植田正治(1913~2000)の名前はインプットされているが、お目にかかった写真は6、7年前横浜美であった展覧会でみた3点のみ。でも、その中の一枚‘パパとママとコドモたち’がそれ以来ずっと気になっていた。

その後、この写真家が生まれ故郷の鳥取の境港市で写真館を営みながら写真を撮り続けていたことや伯耆町(ほうきちょう)に植田正治写真記念館があることを知った。植田正治についての情報はこれくらいしかない。だから日曜美術館にでてきた話は興味深く、写真界の動き、技法、そして植田正治の写真のスタイルと撮り方などがすこしばかりわかった。

植田の作品は世界中の写真家の間ではUEDA-CHOとして絶賛され、1978年にフランス国立図書館から作品14点が買い上げられた。そして、1980年代フランスのファッションブランドの広告写真の撮影を依頼される。家族を撮った演出写真の舞台だった鳥取の砂丘で30年後ファッション写真のためにカッコいいモデルたちがポーズをとっていたとは!ところでファッションブランドってどこ?シャネル、ピエール・カルダン、カルチェ、ルイ・ヴィトン、エルメス?

今回の回顧展で沢山収穫があった。筆頭は‘ボクとわたしのお母さん’、お母さんの優しい笑顔がすばらしい、200%感動した。‘砂丘モード’のシリーズのなかで外人のモデルを撮った作品をみてすぐ連想したのがマグリット。‘パパとママとコドモたち’のときはその不思議な感覚はマグリットのシュールな絵に結びつかなかったが、お面をつけた男性と宙に浮く帽子は完璧にマグリットの世界をイメージした。

また、赤や青や緑で殻の先が彩られた落花生が暗い空を浮遊している‘幻視遊間’もマグリットの得意とするシュール表現と似ている。植田正治はマグリットの絵が好きだったのだろうか?これについてはまったく情報がないが、マグリットをかなり意識していたように思える。当たっている?


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