ヴェネツィア広場の緩い階段を上った先がカンピドーリオ広場、正面の建物は市庁舎で左右にあるのがカピトリーノ美。お楽しみは美術本に載っている古代彫刻の数々とここでもカラヴァッジョ(1571~1610)。まずは絵画から。
カピトリーノ美にあるカラヴァッジョは2016年西洋美で開催された回顧展に登場した‘女占い師’と少年の肌のリアル感に惹きこまれる‘洗礼者ヨハネ’。カラヴァッジョには女占い師に手相をみてもらい若者を描いたものが2点ある。ルーブル美にあるのは若者の顔が真ん丸なのに対して、この美術館のものはモデルが変わり表情は凛々しい。
ベルリン絵画館の‘勝ち誇るアモール’同様、‘洗礼者ヨハネ’の少年も嬉しそうな顔をしている。まだルネサンスの余韻が強く残っているこの時期にこれほど魅力的な感情表現をみせる風俗画を描いてみせたというのは驚き。これから20~30年後にオランダの画家、ハルス(1580~1666)の笑う少年がでてくる。
カンピドーリアの丘に建つ美術館に相応しい絵がルーベンス(1577~1640)の‘ロムルスとレムス’、縦横2mの大きな正方形の画面の中央に狼に育てられるロムルスとレムスが描かれている。ローマ建国の祖となる伝説の双子である。別の部屋には有名なブロンズ像‘カピトリーノの牝狼’も飾られている。
肖像画の名手ヴァン・ダイク(1599~1641)の‘芸術家兄弟の肖像’はジェノヴァに滞在しているときに描かれたもの。二人の立ち位置がなんとも決まっている。