グリューネヴァルトの‘磔刑図’(1515年 ウンターリンデ美)
ホルバインの‘商人ゲオルク・ギーゼ’(1532年 ベルリン絵画館)
フリードリヒの‘山上の十字架’(1808年 ドレスデン近美)
フリードリヒの‘リューゲン島の白亜岩’(1818年 オスカー・ラインハルト・コレクション)
ルネサンス絵画というとすぐダ・ヴィンチ、ボッティチェリ、ラファエロといったイタリアの画家を思い浮かべるが、15世紀はイタリアだけでなくフランドルやドイツでも天才画家が多く出現した。フランドルはファン・エイク、ダビンチとほど同世代のボス、そしてブリューゲル。今日はドイツルネサンスの注目絵画をみてみたい。
2年前クラーナハの回顧展が西洋美で開かれた。このクラーナハ(1472~1553)とデューラー(1471~1528)の作品はルーブルやプラドなどのブランド美術館でよく出くわすので画集にでている主要作品はかなりの数お目にかかることができた。また、ホルバイン(1497~1543)についてもときどき遭遇する。
ところが、もうひとりの大家、グリューネヴァルト(1480~1528)はこれまでみたのは片手くらいしかない。だから、フランスアルザス地方のコルマールのある代表作‘イーゼンハイム祭壇画’が長年気になっている。この祭壇画に描かれた9つの画面のなかで衝撃度が半端でないのが‘磔刑図’。
図版でも磔刑のキリスト像の痛々しさが伝わってくるが、実際に絵の前に立ったら茨の鞭のとげが全身に刺さり苦痛で体がよじれたキリストの姿は長くみれないかもしれない。コルマールはスイスのバーゼルからそれほど遠くないところに位置している。スイスで美術館をまわるときはなんとか段取りをつけて行こうと思っている。
ホルバインの写実表現にはカラヴァッジョと同じくらい魅了されている。ロンドンのナショナルギャラリーで‘大使たち’、NYのフリックコレクションで‘トーマス・モア’、‘トーマス・クロムウェル’をみたから、次はベルリンの‘商人ゲオルク・ギーゼ’。日本の美術館がもっとホルバインに光をあててくれたらいいのだが、ちょっと残念!
古典絵画ではないがとても気になっているドイツの画家がいる。それはロマン派のフリードリヒ(1774~1840)、TASCHENのフリードリヒ本を購入し主な作品は頭に入っているのであとは本物に出会うだけ。でも、これはかなりの時間がかかる。日本の展覧会にほとんど登場しないので所蔵しているドイツの美術館に出向かないとみれない。
で、当面の目標は2点に絞っている。ドレスデンにある‘山上の十字架’とヴィンタートウールのラインハルト・コレクションの‘リューゲン島の白亜岩’。ともに200%KOされている。