コペンハーゲンでは自由時間が5時間あったので、旅のガイドブックに載っている地図をみて予定している美術館をどういう風にまわるか一応シミュレーションしておいた。でも、これは紙の上のことで、建物の位置関係をおおよそ頭にいれただけ。
ガイドさんの後についてニューハウンや賑やかな歩行者天国、ストロイエを歩いているうちに徐々に街の大きさ、道路の流れがつかめてきた。ストロイエは予想以上にハイセンスな店が軒を連ねていた。そのなかで銀座4丁目みたいなところが‘アマー広場’で中心に‘コウノトリの噴水’がある。このあたりで皆待ち合わせしている。
左の茶色の壁の古い建物がロイヤルコペンハーゲンのショップ、その隣が銀食器のジョージ・ジェンセン、そしてこの界隈にはフランスやイタリアの有名なブランド店がずらずらっと出店している。だから、パリやロンドンのファッションストリートの一角とそん色ない。
全室がスイートルームという最古の最高級ホテルがダングレテール、ここに宿泊した有名人の名前をガイドさんがしゃべっていたが、セレブの人たちにとっては快適なホテルにちがいない。もとは貴族の宮殿。このホテルの前で蚤の市が開かれており、こういうところで買うのが楽しみな人たちが焼き物や小さな絵などを熱心に物色していた。
アマリエンボー宮殿に寄ったとき、対岸に斬新な形が印象深い建物がみえた。これは2005年に開館した新オペラハウス。デンマーク船舶界の大立者の寄付によってできあがったという。へえー、なんとも太っ腹な話。建物の大きな魅力は長さ32メートルもある張出し屋根。
ガイドさんが興味深いことを教えてくれた。毎年夏になると、この屋根の先から海面にむかって飛び降りるダイビングのコンテストがあり、世界中から若者が集まってくるらしい。格式のあるオペラハウスでこんなイベントをやってしまうのがデンマーク流。ずいぶん頭がやわらかい。
日本ではみられないものがデンマークにあった。それは荷車のついた自転車。オランダでも自転車はたくさんみたが、こういうタイプのものにお目にかかったことはない。われわれの感覚では自転車の前にリアカーのようなものをつけて物を運ぶという発想は出てこない。いろいろ走っていたが、鉢をいっぱい運んでいたり、幼い女の子が乗っているのもみた。