国宝‘宝相華迦陵頻伽蒔絵冊子箱’(平安時代 10世紀 仁和寺)
出動が遅くなったが現在東博で行われている‘仁和寺と御室派のみほとけ’(1/16~3/11)をみてきた。事前に得た情報から今回のお目当ては2/14から展示されている大阪の葛井寺(ふじいでら)にある国宝の‘千手観音菩薩坐像’一本にしぼっていた。
この最古の千手観音にはじめて会ったのは1995年奈良博で開催された‘日本仏教美術名宝展’、仏像のお宝と数々遭遇し一生忘れられない展覧会になっているが、特別大きな感銘を受けたのが葛井寺の千手観音だった。このクラスの仏像に会えるのは生涯に一度くらいと思っていたのに、運よくまたみることができた。ミューズに感謝!
いろいろある仏像のなかで千手観音の魅力は突出している。鳥の羽のようにもみえる左右から出ている手の束、数えきれないほどの手がびっしり密集するこのボリューム感に目が釘づけになる。こんな圧の強い千手観音はほかにみたことがない。こういうのをみると仏像をまた追っかけたくなる。
仁和寺にある仏像や仏画などのお宝はこれまで現地に足を運んだり展覧会でだいたいみているが、ひとつ残っていたのが檀象の国宝‘薬師如来坐像’、丹念に彫られた10cmたらずの薬師如来、国宝館で見る機会がなかったので幸運なめぐり合わせ。係員の催促をかいくぐって粘り強くみていた。
ほかの寺からも仏像がたくさん集結していたが、もっとも魅了されたのは福井の中山寺にある‘馬頭観音菩薩坐像’、怖い顔をした馬頭観音の迫力に圧倒されっぱなし。これまでみたもののなかでは最上位のランクに即登録した。
平安時代につくられた‘宝相華迦陵頻伽蒔絵冊子箱’は国宝展などが開催されるときはよく出品される定番の蒔絵。リズミカルに描かれた宝相華唐草や迦陵頻伽の文様にいつも夢中にさせられる。