パリのルーヴルで最も多くの観客を集めている部屋はダ・ヴィンチの‘モナリザ’が飾られているところ。そして、すぐ近くにあるフランス絵画の大作がずらっと並んでいる部屋にも大勢の人がいる。新古典派のダヴィッド(1748~1825)の‘皇帝ナポレオン1世と皇后ジョゼフィーヌの戴冠’、ドラクロア(1798~1863))の‘民衆を導く自由の女神’、アングル(1780~1867)の‘グランド・オダリスク’、まさにこれぞ輝けるフランス絵画という感じ。
METでもこのビッグ3の傑作が楽しめる。ダヴィッドというとナポレオンを描いた画家とすぐイメージされるが、プッサン同様、歴史画の名手、そのひとつが‘ソクラテスの死’、ルーヴルにある‘サビニの女たちの略奪’と‘ホラティウス兄弟の誓い’と遜色のない完成度の高い作品でダヴィッドの比類ない才能をみせつけている。
アングルの肖像画を心底スゴイな思ったのははじめてMETへ行ったときロバート・レイマン・コレクションのコーナーでみた‘ド・ブロイ公爵夫人’、200%KOされたのが青色のしゅすの衣服の質感描写。以来、この女性の虜になっている。
アングルにあうとすぐ捜したくなるのがロマン派のど真ん中にいるドラクロア、アメリカの美術館をまわるとドラクロアのお馴染みの激しく体を動かす馬の絵にでくわす。ここにあるのはその馬に救い出されたレベッカが乗せられているもの。
ドラクロアと同世代のコロー(1796~1875)は風景画も肖像画のともに上手い大画家。METで印象深いのが‘荒野のハガル’。だが、フェルメールの描く女性を連想させる‘手紙’にはどういうわけか縁がない。次回の訪問で姿をみせてくれるだろうか。