ロートレックの‘ボレロを踊るマルセル・ランデ’(1896年)
この秋は東京、関西で日本美術の展覧会が注目を集めているが、昨日から東京都美で‘ゴッホ展’(10/24~1/8)がはじまった。上野では今、‘怖い絵展’がブレイクしている。でも、こうしたテーマ型の企画展は関心が薄いので西洋画はこのゴッホ展にすべての鑑賞エネルギーを注ぐつもり。
この展覧会は京都近美にも巡回することになっており(1/20~3/4)、京博にそのチラシが置いてあった。気になるのは東京都美のものには載ってなかった‘ポプラ林の中の二人’、これでアメリカから来る初見の作品2点に狙いが定まった。
ワシントンナショナルギャラリーにあるゴッホでもっとも惹かれるのは‘ラ・ムスメ’、ゴッホが描いた女性の肖像画ではこれとボストン美などにある‘ルーラン夫人’が魅力度NO.1を争っている。残念なことに日本にはまだお目見えしていない。
来年に開催される展覧会の情報が少しずつはいってきているが、印象派関連で話題になりそうなのは2月からはじまる東京都美の‘至上の印象派展 ビュールレ・コレクション’、目玉は2度目の登場となるルノワール(1841~1919)の‘可愛いイレーヌ’。ゴッホのあとルノワールを続ければ東京都美へ向かう美術ファンはとぎれることがないだろう。注目を集め続けるノウハウをこの美術館はもっている。
6年前、ナショナルギャラリーのコレクションが公開されたとき、ルノワールは気品があって美形の女性‘アンリオ夫人’と‘踊り子’が人気を集めた。じつはお気に入りはこの2枚ではなく‘じょうろを持つ少女’のほう、はじめてナショナルギャラリーを訪問したとき、その愛くるしい姿に視線が釘づけになった。
何度も書いているようにアメリカにはロートレック(1864~1901)のすばらしい油彩がたくさんある。‘シルぺリック劇場でボレロを踊るマルセル・ラング’もそのひとつ。これはTASCHENのロトレック本の表紙を飾っている。動きのある生き生きとした描写がエンターテイメント心をくすぐるこの絵に出会ったのは2013年のこと。その5年前はどういうわけか姿を現してくれなかったので、もう夢中になってみた。
‘怖い絵’ではないが‘びっくりする絵’というくくりるをすると是非入れたくなるのがゴーギャン(1848~1903)の‘悪魔の言葉’、目が長くとどまっているのは立ち姿の裸婦のあと向かう後ろの女、このびっくり眼が忘れられない。