来週の20日から上野の東京都美で‘ボストン美の至宝展’がはじまる。今年後半に開かれる企画展のなかでは最も期待している注目の展覧会。そのため、ずいぶん前からまわりの美術好きにはPRしまくっている。
見逃してはダメだよ、ととくに強調しているのはプレビューでもふれたゴッホの‘郵便配達夫ルーラン’、この肖像画をみたらゴッホの偉大さが腹の底からわかる。それほどの名画なのでボストン美は過去この絵だけは貸し出してくれなかった。
ボストンにはこの絵と同様別格扱いの作品がもう一点ある。それはサージェントの‘エドワード・ダーリー・ボイトの娘たち’、これまで何度も紹介したのでこの絵のすばらしさは十分伝わっていると思うが、何年待ってもやってこない。
展示の依頼をしているのに壁が高いのか、それとも日本におけるサージェントの知名度が低いためオファーしていないのか、そこはわからないが、日本の美術館で飾られる可能性についてはとても悲観的というのが率直なところ。サージェントファンとしては‘ルーラン’の壁が破れたのだから、次は‘娘たち’という流れになってほしいのだが、はたして。
今回のボストン美展、ゴッホのことばかり書いているが、じつは大きな期待を寄せている日本画がある。絵の存在はかなり前から知っていた英一蝶の巨大涅槃図、海を渡ってアメリカ東海岸のブランド美におさまって以来長い々時間が流れたが、はじめて日本に里帰りする。どんな涅槃図だろうか、ワクワクしている。