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Channel: いづつやの文化記号
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美術館に乾杯! ミュンヘン アルテ・ピナコテーク その四

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Img_0002     デューラーの‘毛皮を着た自画像’(1500年)

Img_0001_2     デューラーの‘四人の使徒’(1526年)

Img_0003    クラーナハの‘葡萄の聖母’(1525年)

Img     クラーナハの‘黄金時代’(部分 1530年)

どの美術館でもそこでしかみれない絵というのがある。ウイーン美術史美ならブリューゲル、プラドならベラスケスなどスペインの画家とボス、ではアルテ・ピナコテークなら誰れかと考えたとき、すぐでてくるのはデューラー(1471~1528)。

ここでみたデューラーの作品でこの画家のイメージが固まった。デューラーが楽しめる美術館というとほかにはウィーン美術史美、ウフィッツイとプラドがあるが、一番印象に残るのはやはりアルテ・ピナコテーク。圧倒的な存在感があるのが28歳のときの自画像、正面をみすえた顔、長い髪、そして胸元にそえられた右手、目の前にデューラーがいるようなこのリアリティーがなんといってもすごい。

そして、2つの縦長の画面に二人ずつ描いた‘四人の使徒’も忘れられない。デューラーはこの使徒たちで四気質を表現している。左から多血質(若いヨハネ)、粘液質(老齢のペテロ)、胆汁質(壮年のマルコ)、憂鬱質((初老のパウロ)、右の二人に感じられる強い目力が目に焼きついている。

髪の毛一本々まで精緻に描くデューラーとクラーナハ(1472~1553)は同じドイツの出身で歳もほぼ同じなのに画風はまったく違っている。例えば、アダムとイヴを描くときデューラーはあまり暗さのない健康的な男女に仕上げるのに、クラーナハの裸婦ときたら体は異常に細長く下半身はばかデカくかなりマニエリスム調。

ところが、クラーナハのおもしろいところは画題によって描き方が変わること。‘葡萄の聖母’はマリアも品がいいし幼児キリストも上にいる天使たちもじつに可愛い。散歩をしているとこんな赤ちゃんによく出くわす。また、服を着た女性たちが明るく愛嬌のある顔をしているのも惹きつけられる。

さらにクラーナハに関心がいくのは風俗画的な描写がみられるから。鹿狩りの場面とか‘黄金時代’のように人間臭いエンターテイメントに興じる男女の様子などではつい画面の隅から隅までみてしまう。


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