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Channel: いづつやの文化記号
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美術館に乾杯! エルミタージュ美 その六

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Img     ゴーギャンの‘果実を持つ女’(1893年)

Img_0001     ゴーギャンの‘タヒチの牧歌’(1893年)

Img_0004     ルノワールの‘女優ジャンヌ・サマリーの肖像’(1878年)

Img_0002     ゴッホの‘アルルの女たち’(1888年)

ここ数年はゴーギャン(1848~1903)のいい絵が毎年姿を現してくれる。昨年は東京都美の‘ゴッホとゴーギャン展’でスコットランド国立美蔵の‘三人のタヒチ人’をみることができた。ゴッホ同様、ゴーギャンは一生付き合っていきたい画家なのでこの流れが途切れないことをミューズにお願いしている。

ゴーギャンを存分に楽しめる美術館というとまずあげられるのがオルセーとエルミタージュ、オルセーに足を運ぶ人は多いからゴーギャン好きはここで満ち足りた気分になる。そしてもう一度この感動を味わいたいと思ったらサンクトペテルブルクをめざすといいかもしれない。エルミタージュでも傑作が出迎えてくれる。

その数15点。これらはシチューキンとモロゾフが集めたもので19世紀後半から20世紀のはじめのフランス絵画のなかでは数質とも群をぬいている。‘果実を持つ女’は傑作中の傑作、メトロポリタンにある‘アベ・マリア’とともに長くベストワンの座を占めている。

‘タヒチの牧歌’もお気に入りの一枚。ぱっとみると平板的な画面にみえるが、じっとみているとゆるやかな凹凸のある地面に塗られた鮮やかな色彩や空間を前後にわけるように配置された太い幹の木によって奥行きのある画面になっていることに気づく。この構図はオルセーにある‘悦び(アレアレア)’とよく似ている。

ルノワール(1841~1918)の‘女優ジャンヌ・サマリーの肖像’は‘果実を持つ女’とともにエルミタージュの思い出を象徴する作品。どこからみても女優といった華のある立ち姿、200%KOされた。じつはこの絵は日本に一度やって来た。会ったのは確か損保ジャパン美だったことは覚えているが、1999年以前にみたか後にみたかはあやふやになっている。

ゴッホ(1853~1890)は4点ある。‘アルルの女’は動きのある人物描写と左手前に描かれた2人の女性が身につけている服にみられる点描風の赤い点々が目に焼きついている。そして、亡くなる年に描かれた風景画‘潅木’も画面をおおう草木の緑が心をとらえてはなさない。


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