このところ日本民藝館から足が遠のいているが、以前はよく通った。ここで一番の楽しみは河井寛次郎、濱田庄司、バーナード・リーチのやきもの。そのなかにまじって濱田に師事した島岡達三(1919~2007)の作品もある。
直径が60センチくらいの大皿‘塩釉象嵌縄文皿’は代表作のひとつ、紐を回転させてつくりだした縄文模様のリズム感が目に心地がいい。そして、その渦巻き模様をひきたてているのが中心に広がる鮮やかな青の釉薬。この作品は茨城県陶芸美のコレクション、またみてみたい。
茨城の笠間市出身の松井康成(1927~2003)が亡くなったのは76歳のとき、突然この世から去ったという感じでちょっとショックを受けた。色の異なる土を組み合わせて作り出す練上というのは難しい技法、才能豊かな松井はそういう困難なことに挑戦して皆をあっと言わせる。ピンクの花びらが華やいだ雰囲気をj醸し出している‘練上玻璃光大壺’の前では思わず‘うわー’と声がでた。
11月3日に発表される今年の文化勲章受章者に上村淳之(1933~)は入ってなさそう。残念!淳之の花鳥画は飛翔する鳥がよく描かれるが水面すれすれを飛ぶことが多い。空高く飛ぶ鳥と比べて、鳥が低空を飛んでいるとそろそろ着地のころかなと想像してしまう。画面に時間を感じさせる表現は鳥の姿だけでなく川や湖にもイメージがふくらみ目の前の光景がぐっと広がってくる。