2010年 千葉市美で行われた田中一村(1908~1977)の回顧展はとても印象深い展覧会だった。以前から好感度の高かった千葉市美、待望の田中一村展を実現してくれたのでまた好きになった。
このとき奄美を舞台にして描いた密度の濃い植物画や魚の絵は全部で34点、そのなかで一際輝いていたのが代表作の‘アダンの海辺’、アダンをみたことがないのでこれがどんなものわからないがイメージとしてはパイナップル、食べられるのだろうか?強烈な存在感を放つアダンだけでなく砂浜の小石や静かな海面の精緻な描写にも目を奪われる。これをみれたのは一生の思い出。
横山操(1920~1973)は同じ苗字の横山大観と同様、富士山をたくさん描いた。自ら2000点以上描いたと豪語したといわれているがこれはちょっとオーバー、燃えるような赤と強い金色で描いた赤富士が多いが寂寥感がただよいしんみりとさせる富士もある。
最近得た情報によると、京都の西芳寺(苔寺)はこれからは予約なしで拝観できるらしい。隣の方はその気になっているので京都へ出かけたさいは寄ってみたい。そのとき見逃さないようにしたいのは堂本印象(1891~1975)が描いた襖絵‘遍界芳形’、琳派狂いでカンディンスキーが好きとくればこの琳派風の抽象画は200%ぐっとくる。